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中国政府は2020年3月に、現在世界で流行している新型コロナウィルスの治療に、富士フイルム富山化学のグループ会社が開発した抗インフルエンザウイルス薬であるアビガンが有効であると発表しました。

しかし富士フイルム富山化学は、この発表を素直に喜ぶことができません。

中国ではすでに物質特許が切れていて、現地の企業へのライセンスの契約も解消していることが一つの理由としてあげられます。
新型コロナウイルスは、2019年の年末に発生し、半年もたつことなく、世界中を巻き込んで大多数の感染者を出してしまいました。このような悲惨な状況を生み出した理由の一つとして、治療薬がないことが挙げられます。新しく登場した新型の病気なので、ウィルスを不活性化することができる治療薬がないのは当たり前のこととも言えるでしょう。

そのような中で、日本の富士フイルム富山化学が開発したアビガンが、新型コロナウィルスへの治療薬の候補として非常に話題になっています。アビガン以外にも、エボラ出血熱の治療薬として開発されたレムデシベルなども有望視されています。新型コロナウイルスに対し、このような治療薬が使用された理由としては、これらのウイルスが同じ種類に属しているからといえます。

すでに使われている医薬品が注目されていることは、実際的な理由の面も大きいと言えるでしょう。
ゼロの状態から新型コロナウィルスに対応する薬を開発することは、研究費用はもちろんのこと、時間も非常にかかります。現在使われている抗ウイルス薬を転用することができれば、それに越したことはないということです。もしその医薬品が本当に有効なのであれば、人の命を救うことができるのです。
しかし長期的な目で見た場合には、すでに存在している医薬品を転用することには、大きな欠陥も見られるのです。
その一つが医薬品を開発するうえでの問題点です。すでに使われている医薬品を転用するということは、コロナウィルスに特化した新しい治療法を開発するに当たり、マイナスになってしまいます。既存の薬を国家が大量に買い上げしてしまったり、備蓄によって販路が確保されているということは、わざわざ膨大な費用と時間をかけて新しい治療を探すことは優先的ではなくなってしまうのです。また薬剤耐性の問題も出てくることでしょう。そのウィルスに対して免疫ができても、ウィルスが突然変異することで、新しいウィルスとして流行してしまいます。このようなウィルスに対して既存の薬剤を使うことは、治療薬が効かないコロナウィルスを生み出すリスクが高まってしまうのです。