法廷

「12人の優しい日本人」は、1991年に公開された日本映画です。

「もし日本に陪審員制度があったら」という仮定を基にしており、ある殺人事件の審議に関わる12人の陪審員の心の動きを巧みに表現したストーリーで、ほとんどの場面が会議室の中で行われているためシーンの切り替えが少ないことが特徴です。

その殺人事件の被告人は21歳の女性で、夫に対する殺人嫌疑がかけられていました。
彼女は仕事をしない夫に愛想を尽かして5歳の息子と家を出ていましたが、夫は復縁を望んでおり、路上でもみ合いになった際に夫が道路側によろめき、トラックにはねられて死亡してしまいます。目撃者が「彼女が死んじゃえ」を叫んだことを聞いていたことと、トラックの運転手が「彼女が被害者を突き飛ばしていた」と証言していたものの、夫が酔った状態で妻に掴みかかっていたことから、彼女は一貫して殺意を否定し無罪を主張しています。
そこで、この事件に関して会議室に集められた12名の男女の陪審員に対して「被告は有罪か無罪か」で採決を取ったところ、最初は全員一致で「無罪」で、あっけなく会議は終了しますが、陪審員のひとりが「きちんと話し合いましょう」と提言したことから再び会議が始まりました。
しかし、一人ずつ無罪の根拠を述べ始めると審議の内容は変化して有罪派と無罪派に分かれ、陪審員の感情までもヒートアップしていきます。審議を繰り返す中で最終的に11対1で無罪派が多数派になりますが、一人だけ「有罪」を主張する男の陪審員がいました。

実は、彼自身が妻と別居しており、彼の妻と被告がオーバーラップしたため特別な感情を被告に感じていたのがその理由だったのですが、一人の陪審員が「被告はあなたの奥さんではありませんよ」と冷静に諭すと、彼は押し黙るしかありませんでした。

最終的に、全員が冷静になったところで再度評決を行うと「無罪」で満場一致となり会議が終了する、というのがあらすじです。狭い空間の中で一つの議題を論じ合う際にありがちな、人の身勝手さやイライラなどがとても上手く表現されていることがこの映画の見どころとなっています。